こんにちは。
そろそろ体育大会の季節ですね。
地元の中学校も来週の本番に向けて練習が進んでおります。
3年前、息子の中学最後の体育大会。
ムカデ競争の練習で骨折をし、体育大会を愛して止まない息子が100m走以外は参加できなかったという悲しい出来事をふと思い出しました。
どこまでやるの組体操
体育大会でいつも話題になるのが組体操。
2015年に大阪八尾市で10段ピラミッドが崩壊して数人が骨折した事件は、まだ記憶に新しいと思います。
この中学校では前年の2014年にも数人の骨折者が出ていたにも関わらず、翌年も同じ過ちを繰り返し、ずいぶん世間から非難されました。
▼崩落映像がありますので閲覧注意です▼
が、そんな大騒ぎのニュースの中、
私が住む市でもしれっと10段ピラミッドやってました。
しかも、10段ピラミッドのまま歩いて移動するという驚愕の技まで。
過去には2度、11段に挑戦して失敗に終わっています。
この動画を見て私が違和感を覚える事、それは崩落後観客が拍手をしている事です。
「よくやったね、失敗でも全然いいんだよ!一生懸命やったって事が大事!」
という雰囲気で、観客の皆さんが拍手をしていらっしゃいます。
私がその場にいたら・・・。
私の息子が体育大会の練習で骨折するという経験が無ければ、やはり同じ様に「よく頑張ったね!」と拍手を送っていたに違いありません。
でも怪我をしたのが自分の息子だったら、同じ様に拍手しただろうか?
本当に恐ろしい動画だと感じます。
実は私が住む兵庫県は、2015、2016、2017年と3年連続で、全国における組体操事故発生件数で首位を独走中です。しかも、全国発生事故件数の1割以上が兵庫県って異常事態ですよ。
それでも組体操継続にこだわる兵庫県。
兵庫県に次いで二位は大阪府です。
この2県が突出して事故件数が多いのはなぜ?
全国では組体操による事故の年間発生件数がここ数年8000件以上をキープしていたものの、ようやく行政が介入したため昨年度は5000件台まで減少。
東京都教育委員会は、2017年度以降ピラミッドとタワーの禁止措置を取りました。
大阪市教育委員会も、2016年度に段数制限を設けましたが、その後も骨折事故が相次ぎ、2校が危険技を実施していた事も発覚。
2017年度以降はピラミッドとタワーを禁止としました。
私が住んでいる市の市教委の通達は以下の通り。
基本方針
(1)組体操の実施の有無の最終判断は、校長が行うものとする。
(2)実施にあたっては、校長の責任の下、組織的な指導体制を構築すること。
(3)児童生徒の体力等の状況を踏まえて、段階的・計画的な指導を行うこと。
(4)活動内容に応じた安全対策を確実に講じること。
やる前提です。
※【追記】2019年度は修正が以下の修正が加えられました。
しかし段数制限は設けていません。
望ましい、というだけであくまで学校の判断という事です。
私が在住しているのは悪名高き高段ピラミッドを実施する市です。
市はいつまで経っても学校に対して制限を加える事ができません。
なぜ?
①俵積みの平面ピラミッドに関しては、小学校では3段、中学生以上で4段までが、立体ピラミッドに関しては、小学校では4段、中学生で6段までが限界であると考える。また、練習については、まずは2段から始め、確実な3段ピラミッドを作ることは必須である。
②タワーに関しては、上段まで手が届かず確実な補助の出来ない3段以上のタワーを小学生に実施させるのは、安全面から避けるべきと考える。中学生以上では、十分な練習時間が確保できることや、上段・中段・下段と体格の揃ったメンバーがいるなど、条件が整えばチャレンジすることは出来るが、組み立て時の姿勢や腕の組み方などしっかりとした指導方法をとらなければ危険であり、上の3段が立ち上がる4段タワーや、5段以上のタワー(※別紙参照)は安全面から避けるべきである。
組体操よりもやばいムカデ競争
あんなのんびりした競技、なんでやばいの?
と思われる方も多いかもしれません。
でも私の息子はムカデ競争の練習で骨折をしました。
私が住んでいる市では、市内全中学クラス全員で(男子と女子は分かれる)一匹のムカデを作ります。
身長が高かった息子は先頭になりました。
息子の後ろに20人近くがつながっている状態です。
体育大会前は放課後毎日クラス練習を行います。
その練習の際、後ろの誰かが転倒し、全員が前に倒れました。
足は繋がれているので逃げる事も受け身をとることもできません。
先頭だった息子は下敷きになり、手を下につく以外仕方がありませんでした。
そして右手骨折。
結局中学最後の体育大会は、全部見学しろとの学校の指示でした。
手の骨折なので、学校と交渉し100m走だけ参加させてもらえるよう許可もいただきましたが、悲しい最後の体育大会でした。
ムカデ競争は足を繋がれています。
誰かが転倒すると逃げることができず、必ず巻き込まれます。
私が子供の頃は3~4人でムカデを作っていました。
しかし、息子の学校は20人近い人数のムカデです。
人数が多ければ、ケガの頻度は多くなり、ケガの程度も重くなります。
息子が骨折した前年度も同級生が骨折しており、骨折には至らなくても、けが人は毎年多数発生しています。
2015年のデータでは、ムカデ競争で全国で2205人が負傷。
内480人が骨折しています。
体育指導で安全対策なんて全くできていない
体育の授業参観に行った時のことです。
その日、男子の授業内容はマット運動。
マットで転回(バック転の前回りバージョン)をするのです。
が、先生は体操部出身ではなく野球部の先生で、おそらく転回はできないのでしょう。
見本は無し。
口での説明のみ。
補助も無し。
いきなりやれ!と。
子どもたちは見よう見真似でやり始めます。
私は学生の頃、器械体操部に所属していました。
なのでこの指導は明らかにまずいだろうと感じます。
転回は、コツをつかめば男子ならすぐに出来ます。
でもコツを教えないと、間違いなくどっしーんと尻もちをつく結果になります。
先生は自分が出来ないから、コツを教える事ができません。
マット運動だけではありません。
男子は柔道の授業も必須なのです。
息子の中学では、体操服の上に上着だけ道着を着用。
もちろん指導するのは、その野球部の先生です。
柔道未経験のド素人が教えられるほど
柔道って簡単なの?
そして
安全対策って何なの?
息子が骨折して切実にそう思います。
誰もが、まさか自分の子供が学校の授業で大怪我をするなんて思いもしないと思います。
子供が授業で怪我をして、初めて親はそこで体育の授業に疑問を感じるのです。
当事者ではない限り、何も思わないのではないでしょうか。
体育の授業の参観で思ったのです。
いつ誰が大怪我したって全然おかしくない状況だ、と。
組体操、ムカデ競争、普段の体育の授業、どれをとってもすごく危うい。
組体操事故が圧倒的に多いのは兵庫県
先ほども述べたように、兵庫県は組体操の事故件数がダントツの1位です。
それでも辞めない理由は、強烈に組体操を推し進める団体があるからです。
関西体育授業研究会です。
大阪教育大学付属池田小学校に設置されており、関西地区の組体操普及に力を入れてします。
関西体育授業研究会は先生方が自主的に集まり、一生懸命体育の指導方法について学ぼうとしている研究会であるとは思います。安全対策も講じられているのでしょう。
が、組体操の巨大化や高度化を放棄する発想はありません。
巨大化、高度化した上で事故を減らしましょうというスタンスは絶対に曲げません。
私が住む市で行われている10段ピラミッドだと、高さ7メートル、重さの最大負荷は200キロです。
そのような危険技を2学期が始まってから体育大会までの3週間という短期間で仕上げるのです。
それを先生たちがいくら安全対策を講じたとしても、限界を超えているのです。
その結果が、八尾市の中学校でのピラミッド崩壊事故なのです。
この研究会が方向転換をしない限り、兵庫県の事故件数は減少することはないでしょう。
兵庫県の教育関係はびっくりするくらい保守的で古いので、あまり期待できないですけどね。
中学校は軍隊なのでしょうか。
それとも子供は積み木扱いなのでしょうか。
そこまでやらせる意味が理解不能です。
千代田区立麹町中学の体育大会
工藤勇一校長が麹町中学校に赴任されて以来、工藤校長が疑問に感じた200もの問題点を洗い出し、改革につぐ改革。
公立中学でもこんなにできるんだということを、リアルに実践されているすごい校長先生です。
こんな中学校だったら良かったのな。
体育大会もその内の一つ。
子供たちが自分たちで作り上げる楽しい体育大会です。
全国の先生方にこそ、この記事を読んでいただきたい。
wedge.ismedia.jp
今年も体育大会で組体操を行う小学生、中学生の皆さん。
怪我なく無事に体育大会が終わりますように!
では(^^)/