ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんの著書『母ちゃんのフラフープ』を読みました。
誰もがそうとは言わないが、親とは二回、別れがある。
一度目の別れは、子どもが実家を出ていくとき。
二度目の別れは、親がこの世から出ていくときだ。
引用元:田村淳著『母ちゃんのフラフープ』P2
最近私の息子も社会人になり自立した生活を送っています。
市内に住んでるとは言え会う機会もめっきり減ってしまい、喜ばしいことではあるけれど寂しいな・・・と思っていたので、プロローグに一気に惹きこまれました。
そして私の父母も今は元気に現役で働いていますが、いつどうなってもおかしくはない年齢です。
特にこのコロナ禍でお別れはある日突然やってくるのを更に実感しました。
親の死、そして自分の死に向き合う事を何となく避けてきましたが、この本を読んだら少し前向きな思考を得られるかもと淡い期待を抱きながら読みました。
前半は淳さんの小学校から高校までの山口在住時代から、どうやって芸人になり結婚し家庭をもつに至ったかまでの自伝的内容でしたが、これが面白い。
素直な文章から淳さんの人となりやお母さんとの関係性、お母さんのキャラがリアルに伝わってきました。
結婚式での新婦のお父さんによる「娘の取り扱い説明書」が全文掲載されていました。
当時テレビで拝見し感動して泣いたのですが、大きく成長した娘を持つ今、以前とはまた違った感情で改めて感動しました。
後半は亡くなったお母さんの闘病の軌跡やご家族のお話。
淳さんと私が年齢が近い事もあり、これから私も同じような経験をするんだなと思うと非常に参考になる内容でした。
看護師をされていたお母さん。
葬儀、お寺、お墓など事後の諸々を完璧に整えられてからこの世を去ったお母さんは、あまりにかっこよくて強い。
命に向き合う長年の仕事を通して、自分の死に対する確固たる思いが形成されたのだとは思うけれど。
この春、淳さんは慶應義塾大学の大学院メディアデザイン研究科を卒業されました。
超多忙な生活を送っていらっしゃるであろうに、どこにそんな時間があるんだろうと本当尊敬。
自分の時間の使い方を見直したい。
巻末付録には、修士論文「”ITAKOTO”(※)による遺書の新しい概念のデザイン」より抜粋文が掲載されています。
(※) ITAKOTO(イタコト)とは淳さんが立ち上げた遺言動画サービス。
老眼の私にはなかなか厳しい文字サイズでしたが、とても読みごたえがある内容でした。
研究結果を読んでいる内に、「死」に対して感情を取り除き客観的に考えることが少しずつできるようになりました。
所謂タレント本はあまり読まないのですが(星野源さんは例外)、この本を手に取ったという事は、自分自身いいかげん
自分の終活と親の死を真剣に考える時期に来ていることを分かってはいるのだと思います。
でも実際なかなか行動に移せずにはいたのですが、淳さんの本で肩を押していただいた感じがします。
すべての人に訪れるのにタブー視されている「死」について、真剣に向き合うきっかけとなる本だと思います。
興味がありましたらぜひ。